【メンバー(部下)が行動を起こさなかった時、学びにつなげるステップ】
原因を訊いているのに、謝られるのはなぜか
メンバーが約束した行動(期日までに報告書を出すなど)
をしなかったとき、
「なぜ約束を守らないんだ」と訊くと、
「申し訳ありません」と謝られることが多いのではないでしょうか。
上司は原因を訊いたつもりでも、
メンバーは「責められた」と感じるからです。
人は責められても仕方ない状況で
「なぜ」と言われると、
好ましくない行動と人格が結びついたように感じ、
いわば「なぜ君は、キチンと約束を守れない人なんだ」
と聞こえます。
責められたように感じ、「申し訳ありません」としか言えないのです。
したがってそのようなシチュエーションでは、
「なぜ(Why)」ではなく「何(What)」を
使うことをお勧めします。
例えば「何があったの?」と訊かれるとどう聞こえるでしょうか。
「君自身はOKなんだけど、
不都合な何かがあったのかい?」
と聞こえませんか?
つまり人格は承認された上で、きちんと原因に焦点が当たるのです。
すると、
「いえ、何かがあったのではなく私が失念していました」
あるいは「約束通り進めようとしていたのですが、
〜のようなハプニングでこんな状態になりました」
など、原因についての話が返ってきます。
やるのは簡単ではないが、上司としてどちらを選択するか
上記理屈は簡単ですが、やるのは容易ではないかもしれません。
なぜなら、私たちは約束を破られ不快な
気持ちになっているからです。
「なぜ、キチンと守ってくれないんだ」と結局、
相手を心では責めているので、
メンバーには言外にそのまま伝わってしまうのです。
では、どうすれば良いのでしょうか。
私たちは、選択することができます。
怒りに任せて約束を破ったことの重大さを
思い知らせるか、「人間ミスはある。
原因を明確にし、再発防止に繋げよう」とするか。
また、目の前のメンバーにばかり焦点を当てるか、
上司自身のありたい姿や中長期の望む状態にも
焦点を当てるか。
「怒っている時はコントロールできない自分」
を選択するか、そんな時も
「感情的にならない懐の大きなリーダーたる自分」
を選択するか。
選択できるのです。
メンバー自身で原因に気づき、再発防止につながるステップ
もし、各々の後者を選択できた場合、
信頼関係を維持した中、メンバー自身で
原因に向き合い、再発防止につなげることができます。
そのおすすめのステップを、以下にご紹介します。
- 感情的にならずに、事実を確認する
- 正直に言ってくれたことを認める
※これはメンバーが自律型人材に育つために非常に重要です。褒めなくて良いので「正直に言ったことは正しい」と冷静に認めます。そうすることで、今後もよくない報告も責任持ってできるようになります。 - 「“何”があったの?」と、原因を訊く。
- どんな気づきや学びがあったかを訊き、再発防止策を引き出す。
- その学びや策を認め、必要があれば追加で助言する。
- 「次は期待しているよ」とIメッセージで伝え、勇気付ける。後日メンバーが改善できた時はすかさず認める。
上記ステップは、
決して甘やかしたりオブラートに
包んだりするものではなく、
メンバーを存在承認しながら建設的に話し合い、
モチベートするものです。
またより効果を発揮するには、
日頃から信頼関係を深めておくことがとても大切です。
私たちリーダー自身の成長のためにも、チャレンジしてみませんか。

【関連情報】
●書籍:「実践!1on1ミーティング」
●書籍:「1on1ミーティングの極意」
●ブログ:責める「原因論」から、活かす「目的論」的アプローチへ
●ブログ:「I(アイ)メッセージ」で伝え合う素敵な人間関係
●弊社ホームページ:1on1ミーティング研修ページ
●弊社ホームページ:企業研修ページ
●弊社ホームページ:「研修・セミナープログラム一覧」ダウンロード
●弊社ホームページ:セミナー・講演情報