稲盛和夫さんに、経営者、人として大切なことを全て教わりました
稲盛和夫さんとの出会いは、カセットテープでした。
28歳、外資系生命保険会社に転職し2年目の頃。ある教育研修会社の営業パーソンに
「フルコミ(歩合給)営業の方は、経営者マインドが無ければうまくいきませんよ」
と勧められ、断りきれずに買った「稲盛和夫 経営講和」50巻セット。
数年のローンを組んだ25万円もの買い物だったので、毎日電車や車でカセットテープを聞きました。
繰り返し繰り返し聴き、聴かないと落ち着かないほどにのめり込んでいきました。
すると、稲盛さんの考え方が、OSをインストールするように体に染み込み、
京セラフィロソフィが自分の価値観のようになっていきました(恐れ多いですが)。
リコーの社長がT定規を振り回し、脅しに来たヤクザの親分を気迫で追い返したエピソードを聴けば
「経営者は勇気と気迫が必要だ!」と興奮し、
DDIを創業された時のエピソードを聴けば
「非常に難しい判断を迫られた時、経営者は損得で判断するのではなしに、
人間として善か悪かで判断すべきである。
両親や小学校の先生に教わったことが、結局一番大事なのだ」
とのお話に痛く感動し、
「動機善なりや私心なかりしか」
を判断基準にしようと、自分なりに大切にしてきました。
書籍「働き方」での、
万策尽きたと肩を震わせ泣いていた若い技術者に向かって、
「おい、神様に祈ったか?」
とおっしゃったエピソード。
すなわち、人事を尽くし、後はもう神に祈り、天命を待つしか方法はないと言えるほど
すべての力を出し切ったのか。
とのメッセージには、何度読み返しても同じところで号泣。
仮に効率が悪くとも、直接求められているわけではなくとも
相手の立場に立ち、潜在ニーズを想像しながらできる限りのことを本当にやって差し上げられたか、
期待を超える努力をしたかなど、自分なりに実践し続けてきました。
「リーダーに欠かせない資質は思いやり、利他の心である」
とのお言葉には、自らを戒め、反省し、改善、実践に努めてきました。
稲盛さんのお陰様で、小さな存在ながら決して手を抜かずにやってくることができたのだと思います。
それが自分なりに密かな誇りとなって、モチベーションを下げることなくここまでやってくることが出来ました。
一度だけ、パシフィコ横浜の広い会場で、遠目に生の
稲盛さんを拝見し、体が震えたことをとても良く覚えています。
晩年の稲盛さんをYouTubeで拝見すると、
お顔がまるで仏様のよう。
一日一日の積み重ね、「生き方」は、ごまかしなく
お顔に表れるのだと感じます。
使命を果たしきり、天に帰って行かれたのではと、
究極の理想を最後まで見せてくださったように感じました。
未熟者ながら、稲盛さんを思いながら、一日一日、精一杯生きていきます。