【リーダーのあり方そのものが社会貢献 〜エグゼクティブコーチングの意味】
企業幹部Aさんへ、6回目のコーチングセッションでした。
かつては「成果・背中を見せて『ついてこい』、それがリーダーシップだ」と思っていらしたAさん。
しかし実際は、背中を見せても何も伝わっていないことが少なくなかった。
その度に軽くショックを受けていました。
ショックが「何で分からないんだ」という苛立ちになり、メンバーの心理的安全性が下がる。
すると、何か仕事をオファーしても「私には無理です、求められても困ります」「そう言われましても…」とネガティブな反応のオンパレード。仕事も一向に進んでいる気配がない…
「このメンバーは能力がないのかな?」とAさんは呆れ、半ば諦めモードに。
そんなタイミングでのコーチングスタートでした。
コーチングが進む中、
「自身が恩師と感じるほど尊敬していた人は、未熟だった自分にどう関わってくれただろうか」
「その人の何が素晴らしかったんだろう?」
「どうしてその人は自分を否定せず、答えを押し付けることもせず、トコトン付き合ってくれたんだろう」
「その人との関わりの中で、自分の内面や行動はどんな変化を辿っていっただろう?」
想いを巡らしていると、
「ああ自分は、本当はこんなリーダー、人間になりたかった」
本当の望み(ありたい姿)が、おぼろげながら見えてきました。
すると、Aさん自身も驚くほど、感じること、考えることが変わってきた。
「相手を良くしてやろうなどと、大きなお世話だった」
「リーダーとして指導、教育しなければと思っていたが、そうじゃなかった」
そして、自身の言動が変わってきた。
業務を押し付ける雰囲気が、我ながら減ってきた。
お節介、決めつけ、「こうした方がいい」が減ってきた。ニュートラルな関わりが増えてきた。
不十分な成果物に対して、今までは「何で?」と言っていたが、「どんなプロセスで考えたの?」と訊くようになった。するとメンバーはオドオドしなくなり、安心して双方向のコミュニケーションができるようになってきた。
以前は仕事の効率ばかり考えていたが、最近はメンバーの気持ちや何かサポートできないかに想いを馳せるようになった。
普段から雑談など会話が増え、お互いの理解が深まったので、定例ミーティングの時間が今までの半分になった。
「期待してる」という言葉が自然に口から出て、これまでとは別人のようにメンバーが率先して動いてくれるようになった。根気よくやり抜いてくれるようになった。
今まではメンバー同士のコミュニケーションもあまりない様子だったが、自然にお互い話し合い、助け合うようになった。
仕事のパフォーマンスも以前より上がり、「心の余裕があればできる人なんだな」と気づいた。
自分自身、メンバーへのストレスが減ってきた。
そして他部署の人が我がメンバーを表面的に批判すると、以前と違い、「メンバーだって、自分たちなりに頑張っている」ムカっとくるようになった(それをそのままぶつけたりはしないが)。
メンバーの普段の表情が柔らかくなり、グチが少なくなってきた。
最近、「人にはそれぞれ強み、役割、段階がある。だから、リーダーはお互いにとって良い、やり易い方法はないか、接し方を考えることが大事だ」と気づいた。
Aさんは感じ方、考え方が変わり、言動が変わることで、思ってもみなかった発見や反応を体験されました。
人は理屈では動かない。心が動いた時、自らイキイキと輝き出す。
リーダーの潜在意識はちゃんとメンバーに伝わり、結果としてチームのパフォーマンスも上がってきました。
何より、 Aさんのみならず、メンバーたちの人生が変わり始めたのではないでしょうか。
「ああ、この職場にいていいんだ」
「自分も、自分らしく役に立てる」
「この人たちと働きたい、喜んで欲しい」
「毎日が少し楽しくなった。人生も良くなる。きっと素敵な毎日が送れる」
影響力あるリーダーのあり方が魅力的なものに変わること、そのものが社会貢献。
エグゼクティブコーチングの意義と魅力を改めて感じ、感動しました^^
本田