「傾聴」の真の目的
営業においてもメンバー(部下)育成においても、「傾聴が大事」と昔から言われています。
言うまでもなく「きく」ことですが、普通の「聞く」とは異なります。
情報収集と傾聴の違い
普段はどんなときに人の話を聞きたいでしょうか。「ちょっと面白そうだな」「聞く必要があるかも」などのようなときでしょうか。つまり普段の「聞く」は、情報収集です。一方、傾聴とは「相手が話したいことを、気持ちよく安心して話してもらうこと」です。
言い換えると、「聞く」は聞き手が聞きたいことを聞く、「傾聴」は話し手が話したいことを話してもらう、つまり主体が異なるのです。例えば、めでたく婚約した友人ののろけ話を、話したいだけ話させてあげよう、のような姿勢です。
では、その目的は何でしょうか。例えば、私たちがものすごく苦労して一つの仕事を成し遂げたとします。「いや〜、本当に大変だった、この苦労話を誰かに聴いて欲しい!」と思ったときに、その話を存分に話させてくれる人はどれ位いるでしょうか。また、理不尽な思いをして、このやるせない気持ちを心から親身に聴いてくれる、下手なアドバイス無しに最後まで話させてくれる人はどれ位いるでしょうか。…あまりたくさんはいないのではないでしょうか。それは友達がいないのではなく、そんな聴き方のできる人に頻繁にはお目にかかれない、ということだと思います。
もし身近に一人でも、そのように聴いてくれる人がいたらどう思うでしょうか。「あなただけだよ、本当に私のことを分かってくれるのは」と絶大な信頼を寄せるはずです。つまり、「傾聴」の真の目的は情報収集ではなく「信頼関係構築」ということになります。
どのように聴けばよいか
前述からお分かりの通り、傾聴はききたくもない話を黙って耐えてきく、ということではなく、相手がもっと話したくなるような、促すような聴き方です。それは私たちが、どんな聴き方をしてもらえたらリラックスして話し易かったかを思い出すと分かります。
例えば、
①90度の角度で座り、自然なアイコンタクトをする(真正面より話し易い)
②相手のペースに合わせる(スピードや声の大きさ、言葉遣いなど)
③言い換え、要約をする(「言い換えると、こういうこと?」など確認の質問をする)
④相づちやオウム返しをする(ノー・リアクションは話しにくい)
⑤相手が話し(考え)終わるまで待つ
などです。
「相手を、人生の主人公として応援する気持ちで聴く」
どんな人も必ず、自分の人生の主人公。すごく頑張ったり心がつぶれるほど辛い経験をしたりなど、山あり谷ありの人生を、誰もが一生懸命生きています。そこにちょっと想いを馳せると「お互い大変だね。君も頑張っているんだね、応援してあげたい」という気持ちで聴くことができます。すると、上記スキルを自然に体現しており、お客様もメンバー(部下)も気持ちよく安心して話してくれるのです。豊かな人間関係、信頼関係のために、傾聴してみませんか。
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