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志に生きるエグゼクティブコーチのBLOG(本田賢広オフィシャルブログ)

リーダーにこそ必要な「自己承認力」──“承認のオイル”で読み解く、信頼されるリーダーの在り

2025.11.04
1on1ミーティング・コーチングBLOGエグゼクティブコーチング

こんにちは、本田賢広です。
今回は『リーダーにこそ必要な「自己承認力」』について、お届けいたします。

管理職としてチームを率いる方々の多くが、メンバー(部下)を承認することには関心がありますが、自分自身をどう承認するかについては、あまり意識を向けていないのかもしれません。

実は、リーダー自身の「自己承認」が不足していると、どれほど承認スキルを学んでも、他者を真に承認することはできないのです。その結果、チームの心理的安全性を高めることも難しくなります。

自己承認とは「私は私でよい」「私はやればできる」と思えること

自己承認は、自己肯定感と自己効力感からなっています。
自己肯定感とは、「私は私でよい」と思える安心感、自己効力感とは、「私はやればできる」と思える健全な自信です。

リーダーが、自身のことをそう思えることが、チームの力強い信頼関係づくりの礎(いしずえ)となります。

“承認のオイル” ―自己承認の大切さ


自己承認は「人生全ての根幹」と言っても過言ではないほど、大切なものです。
そのことを、「承認のオイル」という例え話を使って説明します。


承認のオイルには3つのルールがあります。
ルール1:コップは自分自身。コップは承認のオイルで満たされなければならない。
ルール2:承認のオイルは2種類あり、自己承認のオイルと他者承認のオイルがある。
ルール3:2つのオイルは密度が異なり、混ざらない。自己承認のオイルの方が下に来る。

自己承認が少ない場合、コップを満たすためには他者の承認を必要とします。
つまり、他者に対し「認めて!」という思いが強くなります(図1)。

このような状態ですと、例えば以下のようなことが起こります。

  • 自信がなく、他者の顔色が常に気になる。自身で判断するより“正解”を知りたい。
  • 失敗を恐れて受け身になり、提案やチャレンジはしない。
  • 「認めて!」と、他者に実績や持ち物を“過剰に”アピールする。
  • 周囲の期待に応えようと、“過剰に”優等生であろうとする。決して弱みを見せない。
  • 自らに厳し過ぎるバー(目標など)を設定し、それを超えない限り決して自分を認めない。したがって、側からは余裕がなく見える。
  • 同様にメンバー始め、周りの人のことも一定の結果を出さない限り決して認めない。「こうあるべき」と厳しくし過ぎる(パワハラ)。 etc.

一方、図2のように自己承認が十分な状態ですと、例えば以下のようになります。
なお、自己承認が十分な状態とは過信や慢心のことではなく、自分が不完全であることは分かっているがそれでよい、そこから成長できるんだと、自己を健全に承認できる状態のことです。

  • 自然体でいる。人と異なっても自身の判断を大切にできる。その結果についても責任が持てる。
  • 失敗を恐れず自ら提案したり、リスクを取ってチャレンジできたりする。
  • 他者に認めてもらうために過剰にアピールする必要がない。自然体。
  • 本心では望んでいないのに、周囲のために優等生であろうとし過ぎない。
  • ストレッチな目標にチャレンジできる。達成できなくても自身を否定することはなく、健全に未達の原因について分析、検証し、学びにする。
  • メンバー始め、周りの人の多様な価値観を尊重でき、成果を心から讃えられる
  • 自分の弱みや失敗を自然体で自己開示できるため、親しまれ、人と信頼関係を築きやすい。 etc.

つまり、自己承認が不十分だと、他者の目が気になり過ぎ、“他人の人生を生きる”ことになりかねません。
一方、自己を十分に承認できれば、他者の目を過剰に気にすることなく、“自分の人生を自分らしく生きる”ことができます。

したがって、リーダー自身が「自己承認」できた時、他者を真に(表面的なテクニックではなく)承認でき、結果、チームの心理的安全性も高まっていくのです。

なお、なかなか図2のように「自己承認だけでコップを満タンにするのは容易ではない」と感じる方もいるかもしれませんが、自己承認の割合が少しずつでも増えていけば、上記の効果を着実に感じられるようになります(筆者もそうでした)。

自己承認を高める3つの方法ー自分らしい人生を生きるために

では、自己を承認できるようになるにはどうすればいいか。

以下に、3つの方法をご紹介します。
(1)信頼する人からの他者承認を、自己承認に変える。
(2)事実としてやった良き行いを、毎日書き留めていく
(3)やればできる行動目標を設定し、達成し続ける

(1)信頼する人からの他者承認を、自己承認に変える

信頼する家族や親友、恩師などが
「あなたはあなたでいいじゃない」「あなたはできるよ」
など言ってくれた言葉を、素直に受け取ります。

自分のことを大切に思ってくれる人の言葉と、
自分のことにあまり関心のない人の言葉の、
どちらを信頼すべきでしょうか。

「ああ、信頼するこの方がそう言ってくださるのなら、
私には価値があるのかな。やればできるのかな。」
と、少しずつでも受け入れていくのです。

すると、その他者承認が自己承認に変わっていきます。

(2)事実としてやった良き行いを、毎日書き留めていく

シルバーシートでお年寄りに席をゆずった、
困っていた若手の相談に親身に寄り添ったなど、
事実としてやった、良きささやかな行いを毎日ノートに書き留め、
決して人に見せない、言わないようにします。

人に言うと、他者承認を求めるサイクルから抜けられないからです。

自分を褒める必要はありません。
事実として、淡々と書いていくのです。
それがしばらく溜まっていくと、
「自分って、実は価値があるのかな」と、自然に思えるようになります。

つまり、自己肯定感が上がっていくのです。

(3)やればできる行動目標を設定し、達成し続ける

「毎朝6時に起きる」「ありがとうを1日5回言う」など、
“やればできる”レベルの行動目標を立てて実行し続けます。
(「ありがとうと1日5日言われる」などは、自分では コントロールできないため不可です)。

そして、ノートに星取表を作り、実行したら◯を書いていきます。
やはり、決して人に見せない、言わないようにします。

◯が並んでくると、
「自分は決めたことはできる、やればできる人間だな」
と潜在意識で感じるようになります。
つまり、自己効力感が上がっていく
のです。

(行動目標はストレッチなものではなく、
「やればできる」レベルである必要があります。
約束を果たし続けることが目的だからです)

これらはほんの小さな行動ばかりですが、日々の積み重ねのパワーは、決して馬鹿にできません。
確実に、自己承認を育むことができます。

ピンと来られた方はぜひ、取り入れてみてください。

自己承認力が高いリーダーのもとでは、メンバーは安心し、のびのび挑戦できる

すでに述べたように、自己承認が高いことは、過信、慢心とは異なります。
また、自分に甘いこととも違います。
過大評価も過小評価もせず、そのままの自分をフラットに認めることです。

たとえ失敗しても、自分の存在価値は何も変わりません(完璧な人間などいない)。
また、できないこともありますが、できることもたくさんあります。
誰しも、「私には(普遍の)価値があり」、
やりたいことは「やればできる」のです。

そのことを心から信じられる(自己承認ができる)と、
リーダーは肩肘はらず、その人らしくいられます。

自然に、メンバーのことも
「あなたには価値がある」「やればできる」
と、心から信じられるようになるのです。

すると、メンバーは安心してそこにいることができます。
そして
「自分らしく意見を言ってもいい」と思え、
失敗しても「この経験を糧に成長していこう」と思え、
「リーダーは成果だけでなく、プロセスも見てくれている」と
安心してチャレンジできるのではないでしょうか。

これはまさに、心理的安全性の土台です。

まとめ|リーダーの自己承認力がチームの未来を創る

自己承認力とは、他人の評価に左右されることなく、自分の存在を自ら認める力。
それは「自身への健全な寛容さ」と「挑戦する勇気」の源です。

リーダーが自分を承認できると、メンバーも「この人のもとでなら、失敗しても大丈夫」と感じられる。
その安心感が心理的安全性を生み、挑戦と学びを繰り返すチームを育てます。

今日からできる第一歩は、「自分を否定せず、自分との約束を一つ、今日も果たすこと」。
その積み重ねが、自身とメンバー、チームの未来を拓きます。

【関連情報】
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