1on1ミーティングをやっても、離職率が減るとは思えない?
1on1ミーティングって、離職防止になるんですよね?
「1on1ミーティングって、離職防止になるんですよね?」と聞かれることがあります。
確かに、良質な1on1ミーティングが浸透し、効果的に機能した結果、離職率が低下したということはあります。
しかし、離職率を減らすために1on1をするということになりますと、話は全く変わってきます。
つまり、メンバー(部下)を辞めさせないためにやるという話になりますと、会社都合でその人の人生を拘束することになります。
もし、そんな1on1ミーティングを受けると想像するとどんな気持ちになりますか?
むしろ決してやってはならないことです。
したがって「1on1ミーティングって、離職防止になるんですよね?」という問いは、大いなる誤解ということになります。
もし「1on1をやっても効果が感じられない…」と感じる方は、
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結果と目的を混同してはならない
本当に質の高い1on1ミーティングをやり続けていった結果、信頼関係が醸成され、心からの安心感(心理的安全性)を感じるようになります。
恐れたり警戒したりする必要がなくなれば、自分さえ良ければいいという利己的な考えや、刹那的・自己防衛的な言動は減ってきます。
すると、お客様や同僚の立場、状況を想像する余裕が生まれ、価値提供したい、喜んで欲しい、貢献したいという本来の「働く」、すなわち側(はた)を楽(らく)にする発想に無理なくシフトできるようになるでしょう。
お客様や同僚から感謝され、信頼され、必要とされるようになりますので、嬉しさや楽しさ、やり甲斐が湧いてきます。
すると、もっと役立ちたい、喜ばれたいとイキイキ学んだり主体的に仕事に向かったりするので、結果はどんどん出やすくなります。
この上司や同僚たちともっと一緒にやっていきたいとなって、結果的に離職する理由などなくなるのです。
つまり、離職率が減るのは1on1ミーティングの結果であって目的ではありません。
決して混同しないことがとても大切です。
関係の質から始まるグッドサイクルについても、混同しがち
組織が活性化するために大切な「成功循環モデル」のブログで、「組織が活性化するグッドサイクルは“関係の質”がスタートであり、良質な関係が伸び伸びした“思考の質”を生み出し、それは主体的で積極的な“行動の質”につながり、必然に“結果の質”が良くなる。
良い結果は喜びや感謝となってさらに関係の質を高める」と書きました。

こちらも1on1ミーティングと離職率低下の話と同様、「結果を出すためには必要だから、手段として関係の質から始める」というのは誤解であり、やってはならないことです。
純粋にメンバーやチームを大切に思い、接することから始めると「ありのままでいることに心地よさを感じられる」風土ができてくる。
すると時に愛情を持って相手のためにネガティブ・フィードバックができたり、社内外に共感力やリスペクトを発揮できたりする。
自然に気持ちのよい協力関係、協業関係ができて、シナジーやイノベーションという素晴らしい成果に、結果としてつながっていくのです。
「スピードと変化が求められている時代だからこそ、良好な人間関係、人間力が求められる」という逆説的な発想が腹落ちできた時、公私ともに素晴らしい祝福が待っているのではないでしょうか。
【関連情報】
●書籍:「実践!1on1ミーティング」
●書籍:「1on1ミーティングの極意」
(ほんだ たかひろ)
株式会社セブンフォールド・ブリス 代表取締役
多摩大学大学院MBA客員教授
国際コーチング連盟(ICF)マスター認定コーチ(MCC)
エグゼクティブコーチとして、年間約400セッション、累計3,000時間以上実施。主に大企業(IT企業、メーカー、製薬会社ほか多数)の経営幹部に対し、業績向上、リーダーシップ強化、人材育成等の面で貢献。また、1on1ミーティング研修の専門家として、延べ30,000名以上のリーダー・管理職の育成に携わる。日経エグゼクティブコーチ資格取得プログラム講師として登壇するほか、損害保険グループ、住宅メーカー等、数多くの企業で1on1ミーティング研修・社内コーチ養成プログラムを主導。延べ登壇回数は2,500 回を超える(リピート率95%)。心理的安全性と内発的動機づけを軸に、「メンバーが安心して本音を話し、自ら動きたくなる」対話のあり方を伝えている。著書に『実践!1on1ミーティング』(日本経済新聞出版)、『1on1ミーティングの極意』(ワン・パブリッシング)など。
