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志に生きるエグゼクティブコーチのBLOG(本田賢広オフィシャルブログ)

愚痴や他責な発言が目立つ部下との向き合い方| 信頼関係を壊さない聴き方とは

2025.06.16
1on1ミーティング・コーチングBLOGリーダーシップ


本田賢広です。いつもご覧いただき、ありがとうございます。

本記事では、愚痴や他責な発言を繰り返すようにみえる部下(メンバー)に対して、上司としてどう受け止め、接すればいいのか、考え方や具体的方法について述べます。

1on1ミーティングや日常のコミュニケーションなどで役立ちましたら幸いです。

愚痴や他責な発言が多いメンバーとの向き合い方

ある管理職の方から1on1ミーティング研修の場で、「メンバーに、自分が他責一辺倒であることを気づかせ、自分ごととして取り組むよう仕向けたいが難しい」と、困り果てた様子でご相談いただきました。

強い責任感ゆえの苦しみと、胸が痛む思いでした。

ところで私は、管理職の方がおっしゃった言葉のチョイスから、メンバーとの間に十分な信頼関係は築けていないのでは?と感じました。
信頼関係無くして、相手の心に届く言葉はありません。

「そんなこと言ったって、他責な相手など信頼できない」
…おっしゃる通りだと思います。

ただ、信頼関係は双方の歩み寄りで築けるものであり、むしろポジションパワーのある上司側に積極的な姿勢が求められます。

決して管理職の方が悪いと言っているのではありません。
ただ、言葉が届く土壌を作らない限り、その先に進めないのです。

他責なメンバーの心情は?

この管理職の方は、どんなことを感じているのでしょうか。

「なぜいつも自分のことは棚上げして、周りのせいばかりにするんだ!」
「皆、嫌な気持ちがしているのに、なぜ分からないんだ」
「そんなことでは、人として成長しないぞ」などでしょうか。

悲痛な叫びです。
ただ、今のところ、メンバーの深いところにある本心には思いを馳せることなく、ジャッジしているように私には見えます(決してメンバーの肩を持っているのではありません)。

他責な言動をするメンバーの真意とは何でしょうか。
もちろん本当に、自分のことは棚上げして無責任な言動をしているのかもしれません。

しかしそうではなく、以下のような様々な可能性もあるのです。

・自己承認の低さゆえ、ただ「責められたくない」と防御している
・周りのせいにすることで、自信のなさをカムフラージュしている
・我々の知らないところで、他責にしている対象者との間で何らかのトラブルがある
・メンバーの家庭の事情などで、メンタルが不安定になっている
・前職でハシゴを外され、トラウマのようになっている など

人間同士、互いの率直な想いを本音で話し合ってみる

どんな人も、自分の人生の主人公として必死に生きています。
周りから見たら違和感があっても、本人の中ではベストな選択、目的を持ってその言動をしています(アドラー心理学の「目的論」といいます)。

ゆえに、まっさらな心で聴き、仮に受け入れ難い内容だとしても、「そう感じるんだね」と一旦ニュートラルに受け止めることが大切です。そうしたくないのに無理に同意する必要はありません。

時に「感情を押し殺して聞かなきゃいけないんですか?」と不安に思う上司の方もいますが、感情を無理に抑えると、表情や声ににじみ出ます。その結果、メンバーは「やっぱり上司は分かってくれない」と感じ、同じ話を繰り返す悪循環に陥ってしまうのです。

大事なのは我慢することではなく、「私はそう感じないけれど、彼にはそう感じられる理由があるのかもしれない」と思いを馳せ、寄り添いながらもニュートラルに聴くことです。

また、「そんなことをすると、『賛同された』と誤解されるのでは?」と心配されることがあります。
しかし、「そうだよね」と受け入れるのではなく、「あなたにはそう感じられるんだね」と心から受け止め切ることができれば(我慢やテクニックではなく)、誤解されることはありませんのでご安心ください。

しっかり上司に伝わったと感じたメンバーは、少しずつ安心し、鏡の法則で、こちらの話も受け止める準備ができてきます。そのタイミングで、たとえば以下のように投げかけてみてください。

「〇〇さんの話を聴いて、私は〜と感じたよ(=Iメッセージ)」
「その不本意な状況に、あなたはどう向き合いたい?」
「その上で、私に協力できることはあるかな?」

べキ論は一度横に置いて、人間同士、お互いの率直な想いを本音で話してみてはいかがでしょうか。

これは何もメンバーのためばかりに申し上げているのではありません。このような対応ができるリーダーは、「懐が大きい」「メンバーへの理解がある」と、信頼や尊敬を集めるようになることでしょう。

ある部長の体験談

ある部長から聴いたお話です。
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メンバーに対し、どんな事情があろうと許せないとは思ったが、研修で学んだので、まずはニュートラルに聴いてみようとやってみた。

こちらがそんなあり方で接してみたら、拍子抜けするほど今回は相手のガードが下がっているように見えた。

聴けば、「そんな見方があったのか」ととても驚いた。
だとしても幼い判断だとは思ったが、自分が若かった頃を思い出してみると、少し理解できる部分もあった。

すると言葉の端々から、ことごとく自分とは視座が違っていることに気づけるようになった。

この経験から、人に伝えられるリーダーとは、「本当の意味で相手の立場に立つことができる人」だと気づかされた。

今まではどう伝えるかばかり考えていたが、これ以降、相手がどういうものを見ているのかに意識が向くようになった。

同じ事柄でも見る立場によって景色が変わる。同じ富士山も、山梨側から見るのと静岡側から見るのでは大きく違うということか。
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同じように悩んでいる上司の方の、少しでも前に進めるキッカケになりましたら幸いです。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。
いつも応援しています!


【関連情報】
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●Udemyオンライン講座:「心理的安全性ができ、メンバーの意欲が上がる1on1ミーティング実践講座」

●ブログ:「どうすればいいと思う?」と訊くと、メンバー(部下)がフリーズするわけ

●ブログ:外発的動機づけと内発的動機づけの違い、活かし方

●弊社ホームページ:「研修・セミナープログラム一覧」ダウンロード



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