【価値観や意見の違いを『一旦受け止める』大切さと効用】
本田賢広です。
いつもご覧いただき、ありがとうございます。
今回は「価値観や意見の違いを『一旦受け止める』大切さと効用」と題し、お届けします。
価値観や意見が相手と違うのは、背景や立場が異なるから
歳の離れたメンバーとのジェネレーションギャップや転職者との考え方のギャップに、
戸惑いやストレスを感じたことは、誰しも一度や二度あるのではないでしょうか。
そのように価値観や意見が異なる相手と信頼関係を築くためには、どのように
コミュニケーションすればよいでしょうか。
例えば、皆さんが仕事において「誠実さ」を最も大事にしていると仮定します。
そして私は皆さんとは別の価値観を持っている人間だと仮定します。
私が皆さんに伺います。
「お仕事で大事にしていることは何ですか?」と。
皆さんが答えてくださったことに対し私は違う意見を、2パターンの言い方で述べてみます。
私の返し方によって、それぞれどんな気持ちが沸いてくるでしょうか。
<パターン1>
私:「お仕事で大事にしていることは何ですか?」
皆さん:「誠実さです」
私:「それより、成果を挙げることの方が大事じゃないですか?」
<パターン2>
私:「お仕事で大事にしていることは何ですか?」
皆さん:「誠実さです」
私:「ああ、誠実さを大事にしているんですね。ちなみに私は、成果を挙げることを大事にしてきました」
かなり印象が違うのではないでしょうか。
パターン1は、「私の想いを否定された」と、嫌な気持ちになりませんか?
一方、パターン2は「ああ、成果ももちろん大事ですよね」と言えるような心の余裕があったのではないでしょうか。
双方とも賛成していないにも関わらず、ずいぶん印象が違います。
怖いのは、私たちが特に相手を否定する気はなくても、パターン1を言いがちであることです。
つまり、無意識のうちに相手から「今、私を否定した?」と思われているかもしれません。
そもそもなぜ誠実さを大事にしているのか。
例えば、かつてクレーム対応を一生懸命誠実にやったら、むしろ深く信頼されるようになった。
そんな経験から「誠実さってすごく大事だな」と実感したからです。
それにも関わらず、「それより成果の方が大事では?」と言われてしまったら、その経験ごと否定された、下手をすると人格を否定されたような気にすらなります。
異なる経験をして生きてきたら価値観も違ってきます。
どちらが正しいのではなく、どちらも本人にとっては正しいのです。
違いを「一旦受け止める」ことの大切さと効用
したがって、もし相手と意見や価値観が異なったら、相手の価値観や意見を一旦受け止めた上で、その後の会話を続けていくことをお勧めします。
ところで、 “受け入れる”と“受け止める”は一緒でしょうか。
違いますね。
“受け入れる”は、受けて、中まで入れてしまうわけですから、賛成する、同意するという意味です。
もともと同意見ならすんなり受け入れられます。
「やっぱり誠実さだよね!」のように。
ところが、違う意見を持っているのに受け入れてしまうと、自分を曲げるということになります。
「…ですよね…」などと無理に同意しても、見た目、声のトーンに同意していない本心が現れ、結局は「そう思っていませんよね」とすぐにばれると思います。
“受け止める”というのは違う意見、価値観ではあるものの、否定せずに「あなたにとってはそうなんですね」と理解を示すことです。
異なる意見に無理やり賛成するのでもなく。
それが存在承認となります。
歳の離れたメンバーが「これって、こうすればいいんですよね?」と確認してきて、その内容が我々からすると「?」と非常識に感じられた時にも、「そうじゃなくて、こうでしょ?普通に考えれば」などと言ってしまうとどうなるでしょうか。
いくらこちらの言う内容が正しくても、相手はそれまでの人生経験を踏まえてこれがベストと思って出してきたのです。
いきなり「不正解」とジャッジされると、人格否定に聞こえるわけです。
もちろん仕事ですから、こちらのやり方でやってもらわなければ困るといった場合もあるでしょう。
そんなときには、「ああ、そういうふうに考えたんだね。もう少し聞かせて」と言ってみたり、「ああ、そう考えたんだ。ただ申し訳ないけど、今回こういう事情があるから私の指示に従ってくれる?」などと、一旦受け止めた上で、異なる意見を“横”の関係として伝えれば、存在承認ができるのです。
メンバーも気持ちよく、「ああ、そうなんですね。分かりました」ときいてくれるはずです。
ほんのちょっとのコミュニケーションの違いが、大きな違いを生み出します。
人間は感情の生き物なのです。
どんな意見や価値観を持っている人とも、一切否定することなくコミュニケーションをすることが可能なのです。
家族であってもそれは同じです。
ぜひご家庭でも意識して、使ってみてください。
常にお互いを受け止め合う心豊かなコミュニケーションは、使い続けるうちに習慣化して当たり前になります。
そうすれば、職場でもプライベートでも、常にお互い安心して、自分らしくいられる信頼関係の輪が広がっていくことでしょう。
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