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志に生きるエグゼクティブコーチのBLOG(本田賢広オフィシャルブログ)

価値観や意見の違いを『一旦受け止める』大切さと効用 〜上司の意見も伝えながら、信頼関係を築くコミュニケーション〜

2026.04.03(公開日:2025.04.28)
1on1ミーティング・コーチングBLOGリーダーシップ

本田賢広です。いつもご覧いただき、ありがとうございます。
今回は「価値観や意見の違いを『一旦受け止める』大切さと効用」と題し、お届けします。

歳の離れた部下(メンバー)とのジェネレーションギャップや、
キャリア入社の方との考え方のギャップに、
戸惑いやストレスを感じたことはありませんか?
誰しも一度や二度あると思います。

そのように価値観や意見が異なる相手にも、上司として意見を伝えながら
信頼関係を築くためには、どのようにコミュニケーションすればよいでしょうか。

「受け止める」と聞くと、「相手の言いなりになること?」と
感じる方もいるかもしれません。
でも実は、そうではありません。

本記事では、コーチングと1on1ミーティングの現場から得た実践知をもとに、
受け止める」の本当の意味と、すぐに使えるコミュニケーション技術をお伝えします。

📌 この記事でわかること
・「受け止める」と「受け入れる」は何が違うのか
・反対意見を伝えても信頼を失わない方法
・「言いなりにならない」受け止め方の実践フレーズ
・上司・部下・会議・1on1で使えるシーン別具体例
・よくある誤解と質問(FAQ)

少しの言い方の違いで、受け手の印象は大きく変わる?

例えば、皆さんが仕事において「誠実さ」を最も大事にしていると仮定します。
そして、私は皆さんとは別の価値観を持っている人間だと仮定します。

2パターンの言い方をしますので、それぞれどんな気持ちが沸いてくるか、違いを感じてください。

✖️<パターン1> (否定から入る)
私   「お仕事で大事にしていることは何ですか?」
皆さん「誠実さです」
私  「それよりも、成果を挙げることの方が大事じゃないですか?」

✅<パターン2> (受け止めてから伝える)
私   「お仕事で大事にしていることは何ですか?」
皆さん「誠実さです」
私   「ああ、誠実さを大事にしているんですね。ちなみに私は、成果を挙げることを大事にしてきました」

いかがでしょう、どんな違いを感じますか?

パターン1は、「私の想いを否定された」と、嫌な気持ちになりませんか?
一方、パターン2は「ああ、成果ももちろん大事ですよね」と言える
心の余裕があったのではないでしょうか。

両方とも賛成していないにも関わらず、ずいぶん印象が違うはずです。
怖いのは、私たちに特に相手を否定する気はなくても、
パターン1を言いがちであることです。
つまり、無意識のうちに相手から「今、私を否定した?」と
思われているかもしれません。

価値観や意見が相手と違うのは、背景や経験が異なるから

そもそも、「誠実さ」を大事にしている人は、
なぜ大事にしているのでしょうか。

例えば、かつてクレーム対応を一生懸命、誠実にやったら、
むしろ深く信頼されるようになった。
そんな経験から、「誠実さってすごく大事だな」と実感したからです。

それにも関わらず、
「それより成果の方が大事では?」と言われてしまったら、
その経験ごと否定された、
下手をすると人格まで否定されたような気にもなります。

異なる経験をして生きてきたら、価値観も当然違ってきます。
どちらが正しいのではなく、どちらも本人にとっては正しいのです。

だからこそ、意見そのものではなく、その背景にある経験や想いを
「一旦受け止める」ことが重要になります。
相手の価値観を尊重することが、信頼関係の出発点なのです。

「受け入れる」と「受け止める」の違い

ここで重要なのが、「受け入れる」と「受け止める」の違いです。
この2つは似ているようで、まったく異なります。

言葉意味ポイント
受け入れる賛成・同意すること違う意見に賛成すると、自分を曲げることになる
受け止める否定せず理解を示すこと自分の意見を持ちながら、相手の存在を承認できる


「受け入れる」は、受けて中まで入れてしまうわけですから、
賛成する・同意するという意味です。
もともと同意見ならすんなり受け入れられます。
「やっぱり誠実さだよね!」のように。

ところが、違う意見を持っているのに受け入れてしまうと、
自分を曲げることになります。
「…ですよね…」などと無理に同意しても、
見た目・声のトーンに本心が現れ、結局すぐにばれてしまいます。

「受け止める」というのは、違う意見・価値観ではあるものの、
否定せずに「あなたにとってはそうなんですね」と理解を示すことです。

異なる意見に無理やり賛成するのでもなく、
相手の存在を承認することにもつながります。
コーチングでいう「認める」ことでもあります。
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ちなみに、”受け止める”ことは、”褒める”こととも意味合いが異なります。
”受け止める”ことは、コーチングでいう”認める”ことで、
”褒める”ことではありません。
ご興味のある方は、👉 「ほめる」と「認める」の違いと大切さも合わせてご覧ください。
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相手と異なる意見を伝えなければならない時、どうすればいいか?

受け止めることは、相手の意見にそのまま従うことではありません。
受け止めた上で、自分の意見を「横から」伝えることができます。

もし、歳の離れた若いメンバーが
「これって、こうすればいいんですよね?」と確認してきて、
その内容が我々からすると「?」と非常識に感じられた時にも、
「そうじゃなくて、こうでしょ?普通に考えれば」
などと言ってしまうとどうなるでしょうか。

いくらこちらの言う内容が正しくても、
相手はそれまでの人生経験を踏まえて「これがベスト」と
思って出してきたので、いきなり「不正解」とジャッジされると、
人格否定に聞こえかねません。

一旦受け止めた上で「横から伝える」という考え方

まず使いたい「受け止めフレーズ」

✅ 使いたいフレーズ✖️ 避けたいNGワード
「ああ、そういうふうに考えたんだね」「でも」「しかし」
「なるほど、そこが大事だと感じたんですね」「それは違う」
「たしかに、そういう見方もありますね」「普通は〜でしょ」
「もう少し聞かせて」「それよりも〜」

一旦受け止めた上で、異なる意見を「横」から伝えれば、
存在として承認することができます。

するとメンバーも、気持ちよく
「ああ、そうなんですね。分かりました」と
素直にきいてくれるはずです。

ほんのちょっとのコミュニケーションの違いが、
大きな違いを生み出します。
人間は感情の生き物なのです。

【シーン別】受け止め方の具体例

上司が部下に反対意見を伝えるとき

部下:「今回の企画、このやり方でいきたいと思います」

上司(受け止めてから):
「なるほど、そう考えたんだね。
ただ申し訳ないけど、今回こういう事情があるから
私の指示に従ってくれる?」


→ 部下の考えを一旦受け止めた上で指示を出すことで、反発なく動いてもらえます。

会議で意見が割れたとき

メンバー:「このプロジェクト、スピード優先でいきましょう」

上司(受け止めてから):
「たしかに、スピードの重要性はよくわかります。
一方で、品質面のリスクについても確認したいのですが」


→「たしかに」のひと言で相手を受け止め、その上で別の観点を提示。
対立ではなく建設的な議論になります。

1on1ミーティングで価値観が違ったとき

メンバー:「私は仕事より家族との時間を大事にしたいんです」

上司(受け止めてから):
「ああ、家族との時間を大切にしているんだね。もう少し聞かせて」


→ 価値観を否定せず受け止めることで、相手が本音を話せる心理的安全性が生まれます。

違いを「一旦受け止める」ことの大切さと効用

どんな意見や価値観を持っている人にも、必ずそう考える背景や経験があり、
本人にとっては「正しい」のです。
そこにリスペクトを持って、ニュートラルに受け止めることができれば、
自然体で一切否定のないコミュニケーションができるようになります。

否定のないコミュニケーションができる

相手が安心して本音を話せるようになり、職場全体の心理的安全性が高まります。

自分自身も楽になる

否定するのにもエネルギーがいります。受け止めることで、自分自身の消耗も減ります。

信頼関係の輪が広がる

お互いを受け止め合う習慣が根付くと、職場でもプライベートでも、
安心して自分らしくいられる関係が広がっていきます。
最初は難しくても、使い続けるうちに習慣化して当たり前にできるようになります。
ぜひ、チャレンジしてみてください。
応援しています!

よくある誤解と質問(FAQ)

Q1. 受け止めるとは、相手の意見に賛成することですか?


A1. 相手の意見に、無条件に賛成することではありません。
「受け止める」とは、相手と価値観や意見が異なったとしても、
否定せずに、「あなたにとってはそれが大切なんですね」と
理解を示すことで、「受け入れる(賛成する)」とは異なります。
自分の価値観や意見を持ちながら、相手の存在を承認することができます。

Q2. 納得できない意見でも、受け止める必要がありますか?


A2. はい。納得できない意見であっても、まずは受け止めることが大切です。
相手の意見にはその人の経験や背景があり、「これがベスト」だと思う意見を出しています。
それをいきなり否定してしまうと、相手を人格否定しているように聞こえかねません。

意見そのものに賛成できなくても、「そう考えるに至った背景や想い」を
否定せずに受け止めることで、信頼関係の土台になります。
安心感の中で自分の意見を伝えれば、建設的な対話になっていきます。

 Q3. 受け止めたあと、反対意見は言っていいのですか?


A3. もちろんです。「一旦受け止める」ことで、そのあとに自分の意見を
「横から」伝えられる土壌ができます。
受け止めることで相手も聞く余裕ができ、反対意見も素直に落ち着いて
聞いてもらいやすくなります。

Q4.「受け止める」が苦手な人の共通点は?


A4.「自分の意見を押し通さなければ負け」「すぐに正解を出さなければ」
という思い込みを持っている方に多い傾向があります。
受け止めることは「譲ること」ではなく「関係性を守る技術」と捉え直すと、
実践しやすくなります。

まとめ|受け止めるとは「自分を曲げること」ではない

「一旦、受け止める」とは、相手の言いなりになることでも、
自分の意見を諦めることでもありません。
相手の経験や価値観を否定せず、「あなたにとってはそうなんですね」と
理解を示す—それだけです。

  • 受け止める = 関係性を守る技術
  • 意見は受け止めた後、「横から」伝えればいい
  • 今日からできる一歩:まず「なるほど、そう考えたんですね」のひと言から

常にお互いを受け止め合う心豊かなコミュニケーションは、
使い続けるうちに習慣化して当たり前にできるようになります。

そうすれば、職場でもプライベートでも、常にお互い安心して、
自分らしくいられる信頼関係の輪が広がっていくことでしょう。

📝 著者:本田賢広
株式会社セブンフォールド・ブリス 代表。
1on1ミーティング研修・エグゼクティブコーチングを専門とし、延べ3万名の管理職に関わってきた実践知をもとに執筆しています。

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