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志に生きるエグゼクティブコーチのBLOG(本田賢広オフィシャルブログ)

1on1ミーティングで未来が描けない部下への関わり方−ビジョン型と価値観型

2024.12.03
1on1ミーティング・コーチングBLOGリーダーシップ

ビジョン型と価値観型の違い

メンバー(部下)に「〇〇さんは将来、どうなりたいの?」とキャリアプランについて訊いても、なかなか答えが出てこないといった経験はないでしょうか。そんなとき「彼は将来のことなど何も考えていないのだな」とジャッジする前に、実は知っておくと良い考え方があります。
「人のやる気が出やすい傾向は2種類ある」というものです。

一つは「ビジョン型」といい、未来に実現したい「ありたい姿」を明確にして、「あの姿に辿り着きたい!」とモチベーションが上がる人です。

例えば、5年後には私は(明確に)こんな部長になっていたい。逆算すると2年後にはこんな課長になって、そのためには1年後に課内でこれくらいの実績を出し、中心的な存在になっている必要がある。だから今月の目標はこの数字で、今日やるべきことはこれとこれだ。…よし、今日も目標に近づいた!このようにして未来の達成に向けて今日を生きることに、モチベーションが上がる人です。

もう一つは「価値観型」といい、「自分にとって大事なことで、一日一日を満たしたい」と思うことに、モチベーションの上がる人です。

例えば、「常にお客様の立場に立って対応し、数字はお客様の笑顔の証。そんな仕事の仕方をしたい」「プロとして、どこまでも完璧を目指す。神は細部に宿るという仕事をしたい」「誰か一人だけ勝つのではなく、チーム皆んなで勝つマネジメントをしたい」など、自分らしくこだわる中で日々充実感を感じ、それをやり続けることで徐々に高い山を登っていくことにモチベーションが上がる人です。

どちらが良いということはなく、いずれの型でも成功することは可能です。どちらがやる気が出やすいか、いわば好みの問題なのです。
皆さんはどちらの方が、モチベーション・スイッチが入りますか?

それぞれの型に響く質問の仕方

では、キャリアプランについて訊くとき、それぞれのタイプにはどのような質問が効果的でしょうか。

ビジョン型の人には、「〇〇さんは将来、どうなりたいの?」と未来への質問をするとストレートに響き、パワフルに考えてくれることでしょう。

一方、価値観型の人に対し同じ未来への質問をしても、うまく答えられないかもしれません。
代わりに“過去”などについて質問をすると、モチベーション・スイッチたる価値観の片鱗が見えてきます。

「これまでの人生で最も楽しかった、すごくモチベーションが上がったのはいつ?何をしていたとき?」→「そのときはなぜ、そんなにモチベーションが上がったの?」→「ということは、あなたにとって欠かせないこと、大事なこと(価値観)は何?

このように感情が大きく動いた過去のエピソードを深掘りしていくと、価値観が明確になってきます。
そして、「その価値観が満たされた、理想の未来はどんな未来?」と訊くと、キャリアプランも見えてきます。

「将来、どうなりたいの?」と訊いてもなかなか未来が描けないメンバーがいたら、価値観型へのアプローチをぜひ試してみてください。

「価値観」スイッチで本気を引き出す

価値観型の人が、自身にとって大切な価値観に気づくには、前述のように“過去”などに関して質問するのが王道ですが、それより簡易的に(その分、少し浅くはなりますが)価値観に気づく方法もあります。

下の表で、あなたが魅力を感じる価値観の順に、1位から12位まで優先順位をつけてみてください。
同率1位などがあっても大丈夫です。

このワークをもしメンバーにもやってもらったら、あなたと同じ結果になるでしょうか。
かなり違う結果になりそうではありませんか?

まず分かることは、同じ仕事をしていても、どの価値観でも得られるということです。
つまり同じ仕事を、異なる目的(価値観)でやって構わないということになります。

もしあなたが選んだ優先順位トップ3が、毎日の仕事で得られたとしたらいかがでしょうか。
「いや〜、なんていい仕事なんでしょうか!」と自然にモチベーションが上がりませんか?

また、そのトップ3が将来得られると、明確にイメージできたとしたらいかがでしょうか。
「なんて魅力的なキャリアプラン!」とワクワクするはずです。

逆に言えば、キャリアプランを考える際、「どんな部署でどんな仕事」と具体的に考える前に、「どんな自分になりたいか?(ビジョン型)」「どんな価値観を満たせる毎日にやり甲斐や楽しみを感じるか?(価値観型)」と、”目的”を少しでも明確にした上で、「それを満たせる職場や職務は何だろう?」と考えると、しっくりくるプランが見えやすいのではないでしょうか。職場や職務の選択は”手段”であって”目的”ではないからです。

それぞれのビジョンや価値観を少しでも明確にし、1on1ミーティングなどでお互いに共有してみる。
そしてそれが満たされることをお互いに応援し合い、サポートし合っていく。
すると、毎日が楽しくなりませんか?
一日の大半を仕事に費やす以上、それは幸せな人生に直結しませんか?


【関連情報】
●書籍:「実践!1on1ミーティング」

●書籍:「1on1ミーティングの極意」

●ブログ:「どうすればいいと思う?」と訊くと、メンバー(部下)がフリーズするわけ

●ブログ:外発的動機づけと内発的動機づけの違い、活かし方

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