お互いのソーシャルスタイルを尊重し、気持ちの良い職場環境を作る
「こちらは普通に話しているつもりなのに、“詰められている”ように受け取られ、メンバーが萎縮する。どうすればよいか?」
このように困惑される方がいらっしゃいます。そのようなときは、「ソーシャルスタイル」の違いを意識するとすっきりクリアになる場合が少なくありません。ソーシャルスタイルとは、アメリカの産業心理学者デビット・メリル氏が提唱したコミュニケーション理論で、多くの企業でグローバルに取り入れられています。人のコミュニケーションの取り方を「感情表現」と「自己主張」の2軸で捉え、2×2で4つのスタイルに分類する考え方です(下表ご参照)。
感情表現は控え目で自己主張がストレートなタイプを「ドライビング」、感情表現豊かで自己主張がストレートなタイプを「エクスプレッシブ」、感情表現豊かで自己主張は慎重なタイプを「エミアブル」、感情表現は控え目で自己主張も慎重なタイプを「アナリティカル」と言います。
「こちらは普通に話しているつもりなのに、“詰められている”ように受け取られ、メンバーが萎縮する」とは、どのようなことが起きているのでしょうか。
例えば、「“詰められている”ように受け取った」メンバーがエミアブルで、「普通に話しているつもり」の上司がドライビングだったと仮定します。
すると、メンバーは調和、協調性を大切にしたく、共感しながら聴いて欲しいのに、上司は人間関係より成果に意識が行きがちで、話すスピードが速く、白黒はっきりさせるような話し方をしたとします(上表ご参照)。すると、上司にとっては普通でも、メンバーは“詰められた”と感じ、萎縮するかもしれないのです。
もし、両者ともこのソーシャルスタイルを意識できていれば、上司は「メンバーはエミアブルタイプだから、柔和な顔で温かく、共感や感謝を大切に話してみよう」と意識することができ、他方のメンバーも「上司はドライビングタイプだから、冷静、早口でストレートな物言いをしているけれど、彼にとっては詰めているわけではなく、普通に話しているんだな」と受け止めることができます。
つまりソーシャルスタイルは、相手を「こういうタイプだから」と決めつけるためのものでは決してなく、お互いの違いを認め、お互いが好ましいと思うコミュニケーションを、思いやりを持って行うことで信頼関係を深めるためのものです。アメリカで車を運転するときは道路の右側を走るように、相手のスタイルをリスペクトして寄り添うのです。
ちなみにソーシャルスタイルは営業、友人関係、子育てなど人間関係全般に活用できますので、豊かな人生のお供として、意識してみてはいかがでしょうか。
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