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志に生きるエグゼクティブコーチのBLOG(本田賢広オフィシャルブログ)

内発的動機づけとは?〜外発的動機づけとの違い・社員のやる気を育てる人材育成の基礎知識

2026.01.06(公開日:2025.10.23)
1on1ミーティング・コーチングBLOGリーダーシップ

昇格や昇給、インセンティブや評価制度を整えても、
「自分から動く人が増えない」
「言われたことはやるが、それ以上は出てこない」
そんな感覚を覚える場面は少なくありません。

外側からの刺激だけでは、人は主体的に、長くは走り続けられない―。
こうした前提が共有されるようになり、「内発的動機づけ(内的動機づけ)」への関心が高まっています。

この記事では、

  • 内発的動機づけとは何か(外発的動機づけとの違い)
  • なぜ、現代の組織運営や人材育成において重要視されるのか
  • メリットと注意点(きれいごとではない側面)
  • 組織として内発的動機づけを高める具体的な方法
  • マネジメントの現場で機能しやすいシンプルなアクション例

を整理していきます。

「内発的動機づけ」「モチベーション」「エンゲージメント」「1on1」「評価フィードバック」といったテーマを俯瞰したいときのベース知識として活用いただける内容です。

目次

内発的動機づけとは何か

「やりたいからやる」という内側のエネルギー

「内発的動機づけ」とは、給与や評価、賞罰といった外部からの働きかけによらず、「おもしろい」「もっと知りたい」「やり切りたい」といった内側から湧いてくる気持ちを原動力にして生まれる動機付けのことです。

たとえば、次のような状態は内発的動機づけの典型です。
・指示されていなくても、「気になるテーマだから」と自分でリサーチを始めてしまう
・お客様に喜んで欲しくて、サービスや資料のクオリティを「もっと良くしたい」と細部まで工夫する
・英語やプログラミングの学びを「できるようになるプロセスそのもの」が楽しくて継続している
・芸術やスポーツで、自ら高みを目指してどこまでも妥協しない

いずれも、外からの報酬や評価がメインの目的ではなく、自分なりの興味やこだわり、成長欲求に突き動かされている状態です。

自己決定理論が示す3つの要素

内発的動機づけは、自己決定理論(Self-Determination Theory)で次の3要素と結びつけられます。

自主性(自律性)

自分で選び、決めている感覚。
「やらされている」のではなく「自分で選んだ」と感じられる状態。

有能感

自分の能力を発揮し、チャレンジを乗り越えられている感覚。
小さな成功経験の積み重ね。

関係性

周囲とのつながりや信頼、支え合いを感じること。
「ここにいていい」「自分は役に立っている」という実感。

この3つが満たされるほど、内発的動機づけは高まり、仕事への没頭や粘り強さ、自律性が育ちやすくなります。

外発的動機づけとの違い

外発的動機づけとは?

一方で「外発的動機づけ」は、給料・人事評価・表彰・ペナルティなど、外側からの働きかけによって生まれる動機づけです。

例えば、
・インセンティブ条件をクリアするために売上目標を追いかける
・減点を避けるために、形式的な報告書だけは欠かさず提出する
・昇格基準を満たすために、必要な資格だけ最低限取っておく
といった行動は、外発的動機づけのイメージに近いでしょう。

それぞれのメリット・デメリット

外発的動機づけのメリット

・興味関心がない作業でも早く終わらせられるよう、集中力を高められる
・「報酬を与える」などルールや仕組みとして設計しやすく、運用もしやすい
・急ぎの案件や、決まった手順でこなすルーティン業務との相性が良い

外発的動機づけのデメリット

・報酬などに慣れてしまうと刺激が薄れ、効果が続きにくい
・「条件を満たすギリギリだけやる」という発想になりやすい
・自分なりの工夫や意味づけが育ちにくく、創造性や主体性は伸びにくい

内発的動機づけのメリット

・損得に左右されにくく、モチベーションが燃え尽きにくい
・行動そのものが目的になるため、集中力・行動量・創造性が高まりやすい
・やりたくて取り組むので、満足感・充実感・幸福感が高い

内発的動機づけのデメリット

・何に楽しさや興味を感じるかは人それぞれで、個別対応が前提
・個人と組織の価値観の「重なり」を探す必要があり、標準化が難しい
・本人が意味づけを見出すまで時間がかかり、短期的な効果は見えにくい

「どちらが正しいか」ではなく「どう組み合わせるか」

現場レベルでは、
外発的動機づけで「最初の一歩」を促し、
経験や学びを通して内発的動機づけへと移っていく
という流れが起きていることが多くあります。

たとえば、
・社内評価や昇進のために始めた資格勉強(外発的動機づけ)が、
・学ぶうちにその分野の面白さに気づき、
・評価とは関係なく、仕事に活かしたくて学び続けるようになる(内発的動機づけ)
といったケースです。

どちらか一方を選ぶのではなく、
目的やフェーズに応じて組み合わせる視点が現実的です。

なぜ今、内発的動機づけが重視されるのか

生産性とイノベーションの源泉として

内発的動機づけが高い状態では、次のような行動が自然と増えていきます。
・与えられた仕事をこなすだけでなく、自ら課題を見つけ、改善案を考える
・業務に没頭し、集中力と行動量が自然と高まる
・興味・関心と仕事の接点を探し、新しいアイデアや提案が生まれる

労働人口の減少や、生産性向上の要請が強まる中で、こうした「内側からのやる気」が強い人が増えるほど、現場発の改善提案や、新しい挑戦が自然と生まれやすくなります。
その積み重ねが、結果として組織全体の生産性やイノベーション力を押し上げていきます。

働き方の多様化・流動化

リモートワーク、副業、フリーランス、ジョブ型雇用など、働き方やキャリアの選択肢が増えるとともに、
・「会社にいること」自体の意味づけ
・「どこで、誰と、何をするか」の選択
が、個人の側に移ってきています。

この状況では、待遇条件だけに依存すると、より条件の良い会社へと人材が流れやすくなるという構造が生まれます。

一方、
・「この仕事だからこそ得られる経験」
・「この組織だからこそ実現できる価値」
・「このチームとだから目指せる目標」
といった内発的な意味づけが形成されていると、
条件だけでは測れない「この場で働きたい理由」が生まれ、結果的に人材定着にもつながりやすくなります。

パーパス経営・エンゲージメントとの接続

パーパス経営では、
・企業が社会的な存在意義(Purpose)を明確にし、
・そこに共感する人材が集まり、
・パーパスと日々の仕事を結びつけることで、モチベーションとエンゲージメントを高めていきます。

このとき重要になるのが、
自分の価値観と企業のパーパスが重なる
自分の仕事が社会的な意味とつながっている
という感覚です。

これはそのまま、内発的動機づけの高さとリンクします。
エンゲージメントが高い組織ほど、生産性や顧客満足度が高く、
離職率が低いことは多くの調査で示されており、
内発的動機づけはパーパス経営・エンゲージメント向上の基盤と言えます。

アンダーマイニング効果 ― やる気を報酬で壊してしまうリスク

内発的動機づけを扱う際に、評価・報酬制度の運用で注意が必要とされるのがアンダーマイニング効果です。

アンダーマイニング効果とは?

本来は「楽しいから」「やってみたいから」続けていたことが、いつの間にか「報酬のためにやる作業」に変質してしまい、もともとの純粋な意欲がしぼんでしまう―
これが「アンダーマイニング効果」と呼ばれる現象です。

例として、
・趣味でやっていた活動に対し、急にノルマや報酬条件が設定される
・「いつも褒められて当然」という感覚になり、少しでも評価が下がると、一気にやる気を失ってしまう
といった状況が続くと、
「好きでやっていたこと」が「評価がないならやりたくない」へと変化してしまうことがあります。

評価・報酬運用での工夫

アンダーマイニング効果を避けるうえで、次のような点がよく検討対象になります。

  • 結果だけでなく、プロセスや工夫も評価対象として重視する
  • 「評価されなかった=意味がなかった」と感じられないよう、不足していた点や期待している点を具体的に伝える
  • 過度な高評価や頻繁な表彰を習慣化させることによる「評価されて当然」の状態を避ける
  • 元々その仕事に感じていた楽しさ・やりがいについて、1on1などの場面で改めて言語化してもらう

そして、制度の設計そのものだけでなく、どのように運用し、どのようなメッセージとして伝わっているかが、内発的動機づけに大きく影響します。

組織として内発的動機づけを高める7つの手立て

ここからは、組織全体として内発的動機づけを高めていく際によく検討されるポイントを整理します。

自己理解の機会をつくる

  • 1on1やキャリア面談で、「何にワクワクするのか」「どんな仕事が面白いのか」を言語化する
  • キャリア研修や棚卸しワークショップで、価値観・強み・興味の整理を支援する
  • 自分の強みをうまく言語化できない人には、一緒にエピソードを振り返りながら「ここがあなたの持ち味では?」と周りから見た魅力を伝える

内発的動機づけは、
「自分の内側に何があるかを知ること」から始まるため、自己理解の場づくりは欠かせない要素になります。

有能感を育てるフィードバックとミニゴール

  • 定期的なフィードバックで、効果的な行動を肯定的・具体的に伝える
  • 高すぎる大きなゴールだけでなく、達成しやすい小さなステップ(ミニゴール)を一緒に設計する
  • 「できていない点」だけでなく、「うまくいっている点 → さらに良くするヒント」の順序で伝える

評価フィードバック面談や1on1の質は、有能感と内発的動機づけに直結します。

キャリア自律を支援する仕組み

  • キャリア研修・メンター制度・社内公募など、自分のキャリアを自分で描きやすくする仕組みを用意する
  • 個々のキャリア希望と、企業の中長期戦略の接点を対話の中で探る
  • 異動・配置の意図や背景を丁寧に説明し、「納得感」を重視する

「会社に決められるキャリア」から「自分で選び取るキャリア」へのシフトは、内発的動機づけを強める大きな契機となります。

適材適所と強みベースの業務配分

  • 日常の観察や面談を通じて、各人の「得意」「適性」「興味」を理解する
  • それを踏まえ、やりがいを感じやすい業務や役割を、対話の上で任せる
  • 適性を見て新たなチャレンジを提案する際は、背景や期待を丁寧に説明する

「自分だから任された」という感覚は、内発的動機づけを高める大きな要素になります。

目標設定の対話を丁寧に行う

  • 目標を一方的に下すのではなく、本人のキャリア希望も含め、対話を通じてすり合わせる
  • 期待していること・良い点・伸ばしてほしい点を具体的な行動レベルで共有する
  • 数値目標だけでなく、行動目標や学習目標も扱い、それが自身のどんな未来につながっていくかについても話し合う

「何を期待されているのか」「どこを見てくれているのか」が分かると、内発的に動きやすくなります。

意思決定の機会と裁量を広げる

  • 業務の進め方や優先順位について、一方的に指示するのではなく、「どう進めるのが良さそうか」など問いかける
  • プロジェクトやテーマごとに、任せる範囲と決定権を明確にする
  • 失敗をゼロにすることよりも、挑戦や試行錯誤を評価する文化を育てる

少し負荷はかかりますが、「自分で決めた」という感覚が、自律性と有能感を高めていきます。

チームワークと心理的安全性の醸成

  • 課題解決のためのブレストや対話型ミーティングを定期的に行う
  • 形式ばらないコミュニケーションの場(ランチ会・オンライン座談会など)を設ける
  • 失敗を個人攻撃せず、「挑戦そのもの」を評価する

関係性の質が高く、心理的安全性がある環境では、アイデアの提案やチャレンジがしやすくなり、内発的動機づけも高まりやすくなります。

マネジメントの現場で機能しやすいアクション例

ここまでの内容を、現場レベルで実践に落とし込むと、次のようなシンプルなアクションに整理できます。

強みを具体的にフィードバックする

  • 「助かった」「良かった」だけでなく、具体的な場面と行動をセットで伝える
    例:「今日の会議で、Aさんの意見をうまく引き出してくれたのが印象的だった」
    これは有能感を高めるうえで非常にシンプルかつ効果的です。

1on1で「最近、一番楽しかった仕事」を尋ねる

  • 「最近、一番楽しかった・面白かった仕事は何?」と聞いてみる
  • その理由を一緒に言語化し、どこに楽しさややりがいを感じているのかを明らかにする

この対話の中に、その人の内発的動機づけのヒントが多く含まれています。

相談には「どうなったら嬉しい?」「あなたならどうしたい?」から入る

  • 相談を受けたとき、すぐに答えを提示するのではなく、「理想的にはどうなったら嬉しい?」「本当はどうしたい?」など、心理的安全性を確保した上で尋ねる
  • その上で、「こういう視点も足すとさらに面白いのでは?」など、アイデアを補強する形で関わる

こうした関わり方は、自律性と有能感の両方を育てることにつながります。

まとめ ― 制度と関わり方の両輪で「内発的に動く組織」をつくる

最後に、ポイントを整理します。

  • 内発的動機づけは、興味・好奇心・やりがいなど、個人の内面から生じる動機づけで、長期的な継続性や集中力、創造性、満足感を高める。
  • 外発的動機づけは、報酬・賞罰・評価など外部要因に基づくもので、即効性はあるが、効果が持続しにくい側面もある。
  • どちらか一方ではなく、外発的動機づけを入口にしながら、内発的動機づけに橋渡ししていく設計が現実的である。
  • 内発的動機づけは、生産性・イノベーション・働き方の多様化への対応・エンゲージメント・離職率低下など、個人と組織の双方にとって重要な意味を持つ。
  • 一方で、標準化やコントロールが難しく、即効性に欠けるため、人事制度などの“ハード”と、日々の声かけ・関わり方という“ソフト”の両方を、少しずつアップデートし続けていくことが、内発的に動く組織を育む近道である。

内発的動機づけは、「ヒトの生命エネルギーが高まるような働きかけ」と言えます。

一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、その人ならではの魅力を伝え、その人が楽しいと感じることに寄り添い、勇気づけることで、顔つきや働き方が見違えるように変わります。

そういったことが組織の当たり前、日常になれば、この変化の時代に力強く輝けるチームになるのではないでしょうか。

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